助成金も支給される「勤務間インターバル」制度とは?

会社法

勤務間インターバル」という制度をご存知でしょうか? 仕事の終業から翌日の始業までに一定時間の休息を義務付ける制度です。4月4日付けの日経新聞によると、近ごろ企業のあいだで関心が集まり始めているようです。

今回は、「勤務間インターバル制度」の概要や、注目を集めている理由のほか、支給される助成金について説明します。

「勤務間インターバル」ってどんな制度?

「勤務間インターバル」とは、前日の仕事の終了時間 (終業時刻) と翌日の仕事の開始時間 (始業時刻) の間に、一定時間の休息時間を確保する制度 です。例えば、「休息時間を11時間」と設定した場合、23時まで残業した従業員の次の始業時間は翌日の10時というように、始業時間が調整されます。

2019年4月に施行された「働き方改革関連法」により、企業の努力義務 として規定されましたが、その背景には、長時間労働を原因とする過労死の増加が理由として挙げられます。欧州では以前から導入されており、EU加盟国では、1993年に制定されたEU労働時間指令に基づいて、終業から次の始業までの休憩時間を11時間と定めています。

導入によって従業員のワークライフバランスの向上が期待できますが、厚生労働省の「令和3年就労条件総合調査」によると、導入している企業はわずか4.6%にとどまり、「導入予定はなく、検討もしていない」企業が 80.2%なっています。

なぜ今、注目が集まり始めているの?

日経新聞の報道によると、最近になり「勤務間インターバル」制度に注目が集まり始めている背景には、新型コロナウイルスの感染拡大による、在宅勤務の普及があるようです。

在宅勤務はオンとオフの境が曖昧になり、深夜まで働いたり、逆に早朝から働いたりする社員が増え、意図せず長時間労働に陥ってしまいがちです。そんな状況を防ぎ、社員の健康維持を図るために、勤務間インターバル制度の導入を検討する企業が増えていると報じられています。

助成金も活用できる

中小企業の事業主向けの助成金として、「働き方改革推進支援助成金 (勤務間インターバル導入コース) 」が設けられており、取り組みの実施に要した経費の一部が、成果目標の達成状況に応じて支給されます。

具体的には、休息時間が9時間以上11時間未満の企業に対して最大80万円が、休息時間が11時間以上の場合、最大100万円が支給されます。

さらに、導入済みの企業でも、勤務間インターバルの適用範囲を拡大したり、時間を延長したりした場合には助成金が支給されます。休息時間を9時間以上11時間未満にした場合は1企業あたり最大40万円が、11時間以上にした場合は最大50万円が支給されます。

おわりに

勤務間インターバル制度の導入によって、従業員の健康維持だけでなく、優秀な人材の確保や、生産性の向上などのメリットも期待できます。助成金も活用できますので、厚生労働省のマニュアルを参考に、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

(参照:厚生労働省「勤務間インターバル制度導入・運用マニュアル」)

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