過重労働を取り締まる特別チーム「かとく」とは? 長時間労働はどう防ぐ?

会社法

過重労働撲滅特別対策班、通称「かとく」をご存知でしょうか?

2015年4月に厚生労働省の労働基準監督課に新設された、ベテラン労働基準監督官から成る特別チームで、長時間労働や過労死を防止するため、大企業を中心に、いわゆる「ブラック企業」を取り締まる任務を負っています。

先月、コンサルティング大手「アクセンチュア」に対して捜査を実施し、月に143時間の違法な時間外労働をさせたとして同社とマネジャーを書類送検した件も、東京労働局の「かとく」が担当しました。同社では複数回の違法残業が確認されたものの、適切な改善がみられず、さらに労使協定 (36協定) にも不備があり無効と判断されたと報じられています。

今回は、「かとく」が担っている役割を確認したうえで、同組織が取り締まる「過重労働」の防止対策について解説します (なお、過重労働とは、長時間労働や休息時間の不足など心身に大きなダメージを及ぼす働き方のことを指します) 。

「かとく」の役割とは?

かとくは、違法な長時間労働の是正や、過労死の防止を目的として設立されました。これまでに5件の事案に関わっており、2016年には電通の社員だった高橋まつりさんの自殺に関して、労働基準法違反の疑いで同社を書類送検しています。

かとくには職場への立入検査、逮捕、送検などの権限が与えられているほか、高度な専門技術を用いたデータ解析などにも対応が可能です。そのため、意図的に労務管理データを偽造したとしても発覚する可能性が高く、逆に証拠隠滅を問われ、罪が重くなるおそれがあります。

長時間労働はどう防ぐ?

かとくが取締りの対象とする「過重労働 (長時間労働など) 」は、労働者の心身に多大な負担がかかり、さまざまな病気や障害を引き起こすおそれがあります。

長時間労働を常態化させないために、会社としては、以下の点に注意しなくてはなりません。

① 過労死ライン (月80時間) 超の残業が行われていないか (労働時間の正確な把握)

② 残業時間に相当する残業代が支払われているか

③ 36協定が適切に締結されているか

④ 従業員の健康保持に気を配る

「労働時間の把握」は会社の義務

2019年4月、働き方改革の一環として、従業員の労働時間の客観的な把握が義務化されました。従業員の労働時間を正確に把握することで、長時間労働や休日出勤の状況をきちんと管理することにつながり、従業員の健康管理や安全な就業環境の提供の実現に役立つためです。

把握方法としては、① タイムカードやICカード、勤怠管理システムを利用 したり、② パソコンのログイン・ログオフ時間を把握する方法 が一般的です。

おわりに

かとく (過重労働撲滅特別対策班) は、過度な長時間労働を取り締まることで、従業員の健康や安全を守ることを目的としています。企業としては、長時間労働が常態化していないか、労働者が健康を損なっていないか、常に気を配る必要があります。そのためには、従業員の労働時間を正しく把握し、一定の休息を取るよう促すなどの努力が求められます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました