就業規則の記載事項

就業規則

就業規則に記載する事項には、必ず明記しなければならない「絶対的必要記載事項」、会社に定めをおく場合は記載しなければならない「相対的必要記載事項」、そして、記載が任意である「任意的記載事項」の3つがあります。

絶対的必要記載事項

就業規則に必ず記載しなければならない事項で、ひとつでも記載がないと30万円以下の罰金という刑事罰が科されます (労働基準法120条1号) 。

会社と労働者が最低限、共通の認識を持っていなければならない、下記のような事項が含まれています。

(1) 始業時刻
(2) 終業時刻
(3) 休憩時刻・時間
(4) 休日
(5) 休暇
(6) 労働者を2組以上に分けて交代に終業させる場合における終業時転換に関する事項
(7) 賃金の決定、計算の方法
(8) 賃金の支払方法
(9) 賃金の締切り、支払時期
(10) 昇給
(11) 退職
(12) 解雇事由を含む退職関連事項 (退職手続き、解雇理由、定年など)

絶対的記載事項を定めるにあたっては、ある程度、法律の知識が必要となります。例えば、労働基準法では「労働時間は1日8時間、1週40時間まで」とされていますので、原則として労働時間はこの時間内で決めなければいけません。また、「休暇」には、年次有給休暇、産前産後休業、育児休業などの法律上の休暇・休業に加えて、夏季休暇、慶弔休暇など会社が任意に与える休暇・休業も含まれますが、法律上、年次有給休暇以外の休暇は、有給か無給か問われていません。後々のトラブルを防ぐためには有給か無給か明確にしておくとよいでしょう。特に注意すべきは、退職・解雇についての規定です。労使トラブルの多くが解雇に関連して起きているためです。労働契約法16条でも「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を乱用したものとして、無効とする」と規定されているとおり、解雇事由については、従業員が納得できるようなものを明記する必要があります。

相対的必要記載事項

何らかの制度を定める場合は、必ず就業規則に記載しなければならない事項です。具体的には、以下の項目が定められています。

(1) 退職金に関する事項
(2) 臨時の賃金 (賞与など) や最低賃金額に関する事項
(3) 従業員に負担させる食費・作業用品その他に関する事項
(4) 安全・衛生に関する事項
(5) 職業訓練に関する事項
(6) 災害補償および業務外の傷病扶助に関する事項
(7)表彰および制裁に関する事項 (種類・程度)
(8) 当該事業場の労働者のすべてに適用される事項 (福利厚生規定、休職、旅費規定など)

最近の例を挙げると、テレワーク制度を取り入れる場合で、業務のために従業員個人の携帯電話やパソコンを使用し、その通信費が従業員負担となっているときは3に該当します。

任意的記載事項

記載が会社の任意とされている事項です。法律や労働協約、公序良俗に反しない限り、自由に記載できます。具体的には、会社の経営理念、服務規律 (パワハラ・セクハラ行為の禁止など) 、休職手続き、異動手続き、職務発明の取り扱い、コンプライアンスに関わる事項などがあります。記載が任意とはいえ、実務的に必要な事項も多く該当し、記載するメリットも多いため、会社の実情に合わせたルールを検討の上、盛り込むようにしましょう。

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