就業規則の見直し

就業規則

就業規則は見直しが必要か?

就業規則は一度作れば安心だと思っていませんか? もし、昔作ったまま一度も見直していない、あるいは、ネット上のひな形を利用して適当に作成した、という場合には早急に見直した方がよいかもしれません。

見直しが必要な理由の一つとして、年々増加している労使トラブルを防ぐことが挙げられます。近年、解雇、賃金、労働時間をめぐるトラブルが多発しており、労働者が労働基準監督署へ相談を持ち込んだり、訴訟になったりするケースが後をたちません。トラブルが発生すれば、会社が損害を被るだけでなく、労働者のモチベーション低下、ひいては業績低下にもつながります。労働条件について事細かに定めた就業規則があれば、そうしたトラブルの多くを未然に防ぐことができると共に、万一トラブルになっても、会社の損害を最小限に抑えることができます。そのため、就業規則が最新の法改正や判例に対応しているか、潜んでいるトラブル要因はないか、定期的に見直すことが重要になってくるのです。

なお、変更の必要性が生じた場合でも、原則として労働者の合意なく変更することは禁止されています (労働契約法9条) 。特に、従業員に不利益となる変更をする場合には、必要な手続きを踏む必要があるので注意が必要です。

どんなタイミングで見直せばよい?〜特に重要な4つのポイント

就業規則の見直しが必要となる主なタイミングとしては、次のようなものがあります。

(1) 法改正が行われたとき

法改正を反映させておかないと法律違反となるリスクがありますので、確実に見直すべきタイミングと言えます。働き方に関する社会の価値観や、働き方の実態は時代とともに変化し、それに合わせて労働基準法などの改正が行われていますので、法改正情報は常にチェックしておくべきでしょう。

(就業規則変更に影響する近年の法改正については別コラムにて説明)

(2) 労働時間や賃金体系を変更するとき

近年、働き方の多様化を反映し、勤務形態やそれに伴う賃金体型の変更を検討している会社が増えています。時短勤務、変形労働時間制、テレワーク制度、裁量労働制、固定残業代制度など、新たな勤務形態や賃金体系を導入したときは、就業規則に盛り込む必要があります。

(3) 手当を新設・廃止するとき 

新型コロナ感染拡大によりテレワークが急速に広まり、通勤定期の支給廃止や在宅勤務手当の新設などの動きが見られます。そのように、従来の手当を廃止したり、新たに手当を新設したりする場合にも、就業規則の見直しが必要となります。

(4) 非正規雇用労働者や外国人労働者を雇い入れたとき

パートやアルバイト、嘱託社員などの非正規労働者は働き方が正社員と異なるため、正社員用の就業規則では対応できない項目も多く、別途、詳細な規則を作成する必要があります。また、外国人労働者を雇用した場合、入国管理法の規定により在留資格で行える活動内容や在留期間が決まっているなど、注意すべき観点が多くあります。当該外国語へ翻訳も必要となるなど、専門的な知識が必要となる場面も多いため、必要に応じて外国人雇用に詳しい専門家へ相談するとよいでしょう。

就業規則の不備はさまざまなトラブルの原因となるものです。もっとも、単に変更すればよいというものではなく、例えば法改正による変更の場合は、法律の内容を正しく理解した上で運用方法について検討し、就業規則として適切に落とし込む必要があります。また、上に挙げたポイント以外にも、会社の状況によって、さまざまな見直しのタイミングが存在しますので、可能であれば専門家に相談することをおすすめします。

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