就業規則の副業禁止規定〜違反者にどう対応する?

就業規則

問題の背景

就業規則で副業禁止を定めている企業は少なくないと思いますが、近年、副業を始めたいと希望する労働者が増えています。テレワーク等の柔軟な働き方の普及で、余剰時間を副業にあてたいという人もいれば、新型コロナの影響による収入減を副業で補いたいという人もいるでしょう。

では、就業規則で禁止されているにもかかわらず、内緒で副業をしていた従業員が発覚した場合、会社としてはどのように対応すべきでしょうか?

副業禁止規定の有効性

たとえ副業禁止規定があったとしても、労働者には職業選択の自由があり (憲法22条1項) 、労働時間以外のプライベートな時間をどのように使うかは基本的に自由とされています。そのため、たとえ規定に違反しても懲戒処分が認められないケースもあり、解雇した場合「解雇権の乱用」に当たるおそれがあります。具体的には、「職場秩序に影響せず、労務提供に支障が出ない程度」の副業であれば、懲戒処分の対象にはなりにくいと思われます。

逆に、副業が許されず、懲戒処分の可能性がある例としては、下記のケースがあります。

(1) 労務提供上の支障がある場合 (副業のせいで遅刻や欠勤が多くなるなど)
(2) 企業秘密が漏洩する場合 (同業他社で副業し、会社の顧客情報や営業秘密を利用してしまう場合など)

(3) 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合 (マルチ商法のように法律に違反した副業をしたり、反社会的勢力と呼ばれる団体と契約をしたりする場合など)
(参考資料:厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」 (https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000192844.pdf))

実際の対応

副業禁止規定に反して副業を行っている従業員に対しては、まず注意勧告を行い、それに従わない場合は懲戒解雇など重い処分を検討することになりますが、上記の通り、本来、副業は自由に認められるという観点からすると、懲戒処分が無効と判断されることも多いと考えられます。

懲戒処分が有効と認められるには、「客観的に合理的な理由」があり、「社会通念上相当である」と認められる必要がある等、慎重な判断が求められるため、専門家に相談の上で進めることをお勧めします。

副業の解禁を検討

働き方改革の一環で、副業を認める企業が急速に増えています。もし社員の要望が多ければ、この機会に副業解禁に踏み切るのも一考です。副業解禁に際しては就業規則の改定や、従業員が届け出をするときの申請書・誓約書などの準備、運用方法の検討などが必要になりますので、留意点を押さえた上で手続きを進めるようにしましょう。

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