商品やサービスの広告を行うとき、表示内容を裏付ける根拠を持っていないと、法律違反になる可能性があります。
例えば、あるサプリメントの広告に「花粉症の症状が軽くなる」と表示されていたことに対し、消費者庁がその真実性に疑いを抱き、調査を行うとします。その際、消費者庁は、事業者に対して、その表示を裏付ける合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができます。
そして、もし、事業者が資料を提出できなかったときは、消費者庁はその事業者が優良誤認表示を行っていると判断します。
これを「不実証広告規制」といいます。
今回は、この「不実証広告規制」について説明します。
なぜ「不実証広告規制」が認められている?
ある表示が「優良誤認表示」に該当するかどうかは、「表示が実際の商品やサービスの内容と違っていないか」を判断する必要があります。
しかし、それを判断するには、専門機関の調査などが必要となり、消費者庁が実施するには負担が重く時間もかかります。一方で、企業側は、そのような表示をしたからには、当然根拠となる調査結果を持っていると考えられます。
そこで、景表法では、優良誤認表示が疑われる表示を行った事業者に対して「合理的な根拠を示す証拠」の提出を求めることができるとし、もし事業者が提出できなかった場合は、当該表示は優良誤認表示とみなされる、としたのです。
どんな資料を提出すべきか?
提出資料は、「表示の合理的な根拠を示す」もの、つまり、客観的な研究や実験結果などのデータを提出する必要があります。具体的には、
① 提出資料が客観的に実証された内容のものであること
② 表示された効果・性能と、提出資料によって実証された内容が適切に対応していること
の2点を満たす必要があります。
なお、①の「提出資料の客観性」については、下記のどちらかに該当すればOKとされています。
A:試験・調査によって得られた結果
B:専門家等の見解または学術文献
②の「表示と実証内容との対応」は、提出資料によって、表示の意味がサポートされているかどうかが求められます。
(参照:消費者庁「不実証広告ガイドライン」)
提出資料で合理的な根拠となるデータを示すことができなければ、優良誤認表示を行っているとみなされます。
提出期限
事業者は、消費者庁から「合理的な根拠を示す資料の提出」を求められた場合、15日以内に提出する必要があります。正当な理由がある場合はこの限りではない、とされていますが、正当な理由が認められるケースはめったにありません。なお、「合理的な根拠を示す資料を作成するための実験を行う」ことは、正当な理由とは認められません。
そのため、原則、15日以内に上記資料を提出できない場合には、「優良誤認表示」とみなされ、措置命令の対象となります。
おわりに
商品やサービスの良さをアピールする広告を出す際には、合理的な根拠を示す資料をきちんと準備・保管しておく必要があります。「不実証広告ガイドライン」を参考に、法律違反にならない表示の仕方について、しっかり確認しておきましょう。
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