景表法違反による課徴金額が減額される2つの場合とは?

会社法

景品表示法に違反した際に科せられる課徴金。

「課徴金対象期間」に行った取引によって得られた売上高の3%に相当する額を支払わなければならないため、場合によってはかなり多額の支払いを求められることになります。

ただし、一定の条件を満たせば減額されることをご存知でしょうか。 今回は課徴金額が減額される2つの場合について説明します。

事前の報告で半額に

事業者が、景表法に違反するような表示を行ったことを事前に消費者庁に報告したときは、課徴金額は半額に減額されます。

イメージとしては、自首することで罪を軽くしてもらうような感じです。

そのためには条件が2つあり、ひとつは「会社の代表権を持つ役員による報告」であり、もうひとつは「行政による調査が始める前」であることが必要です。

つまり、従業員が報告しても、「代表権を持つ役員」に該当しませんので、減額に必要な報告にはなりません。

また、減額は「報告を促すためのインセンティブ」の役割を持つものなので、調査が始まった後で報告しても、行政側はインセンティブを与える必要を感じません。そのため、例えば消費者庁から「表示について合理的な根拠を提出しなさい」などと言われた後で、「不当表示していました」と白状しても手遅れということになります。

ただし、調査が始まったあとで社内調査をしたところ、まったく別の商品について不当表示が見つかった場合、その事実を報告することで、その別の商品についての課徴金額は減額されると考えられます。

消費者への自主的な返金

不当な表示をした事業者が自主的に返金対応を行う場合には、課徴金の一部もしくは全額が免除されます。

以下はおおまかな手順です。

① 自主返金の実施に関して「実施予定返金措置計画書」を作成する。

なお、「実施予定返金措置計画書」には、下記のような事項を記載します。

  • 返金対象者、 返金実施期間
  • 返金措置の内容についての周知方法
  • 返金措置の実施に必要な資金の額および調達方法
  • 実施予定返金措置計画申請前の返金措置に関する事項

② 計画書を消費者庁長官へ提出し、認定を受ける。

③ 消費者に対して、計画に沿った返金手続きを行う。

④ 返金措置の実施終了後、1週間以内に消費者庁に報告する。

報告があると、返金措置は消費者庁のウェブサイト上で公表されます。

返金の額に応じて、課徴金額は下記のとおり変更になります。

  • 返金合計額が課徴金額未満の場合 ⇒ 返金額を課徴金額から減額した金額
  • 返金合計額が課徴金額以上の場合 ⇒ 課徴金納付の免除 (0円となる)

なお、返金手段は金銭のみに限られ、代わりに別の商品を提供したり、金券を配ったりすることは認められていません。

おわりに

広告表示などの違反は、意図せずに行ってしまったケースも多いと思いますが、うっかりミスであっても課徴金は支払わなくてはなりません。

そのため、日頃から違反予防策を講じておくとともに、定期的に違反がないかチェックする体制を整えておくことも大切です。そして、もし内部調査や消費者からの指摘などを通じて、「違反があった」という認識に至った場合は、直ちに調査を行い、必要があれば消費者庁へ報告したり、返金措置をとったりできるような体制を整備しておくことが、被害を拡大しないためには重要となります。

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