中小企業庁は、大企業と下請け企業の取引が適正に行われているかを調査する「下請Gメン」の人数を増加しました。昨年度は122人だったところ、今年度は248人と、一気に倍増した形です。
背景にあるのは、ロシアのウクライナ侵攻の影響を受けた、エネルギー資源の高騰や原材料費の上昇です。経済状況が厳しくなる中で、下請業者が大企業への納入価格を適切に値上げできているかなど、今後、下請Gメンの調査が活発化することが予想されます。
下請Gメンとは?
下請Gメンとは、中小・小規模事業者を中心とした下請事業者を巡回し、親事業者との取引の問題点などについて聞き取り調査を行う専門調査員のことです。
2017年度のスタート時は約80人でしたが、年々増加し、今年度は248人になりました。
また、今年度から、取引に関して問題がある発注業者を対象に個別調査を行う「特別調査班」や、知的財産権に関して専門的に調査する「知財Gメン」も創設されました。
下請Gメンの任務とは?
下請Gメンの仕事は、下請企業を訪問し、発注先企業との間の取引に関して話を伺うことです。
調査によって、業界内の不適切な取引慣行が明らかになった場合には、国や業界が定めるルール作りに反映するなど、適正取引に向けた取組みをしています。
これまでに、下記のような下請業者の声を、政府の基準改正に反映してきました。
- 「発注単価を一律○%減らしてほしい」など、不合理かつ一方的な単価引き下げが行われる。
- 光熱費・原材料費・人件費などが上がっても、値上げを認めてくれない。
- 金型の返却や保管料負担の話をするが、何も対応してもらえない。
- 手形による支払いが多く、その割引料も加味してもらえない。
(参考:中小企業庁「下請Gメン」)
おわりに
中小企業庁は、2022年度は1万件以上のヒヤリングを目指すとしています。中小企業やスタートアップは、発注側の親事業者と、下請事業者、両方の立場になることが想定されます。下請取引を行う際は、「下請法」を守り、契約書のチェックを含め、不適切な取引を行わないよう、くれぐれも注意するようにしてください。
(参考:公正取引委員会「ポイント解説下請法」)。
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