下請法は、下請け事業者の利益保護のために、発注者側にさまざまな義務を課しています。
下請法に違反すると、罰金を課されるほか、企業名が公表されるおそれもあるため、下請取引を行う際は、必ず義務を確認し、守る必要があります。
今回は、発注者がどのような義務を守る必要があるのか、具体的に確認してみましょう。
下請法における発注者側の4つの義務
下請取引において、発注者側には下記の4つの義務が課されています。
① 書面の交付義務:発注の際は、直ちに 3条書面を交付 すること
② 支払期日を定める義務:下請代金の支払期日を給付の 受領後60日以内 に定めること
③ 書類の作成・保存義務:下請取引の内容を記載した 書類を作成し、2年間保存 すること
④ 遅延利息の支払義務:支払が遅延した場合は遅延利息 (年率14.6%)を支払うこと
このうち、①書面の交付義務について、以下で詳しく説明します。
書面の交付義務
発注者は、発注を行うときに、発注内容を書面化し、直ちに発行 しなければなりません。加えて、その書面の 記載事項は法律で定められています。この書面は、下請法3条により交付を義務付けられているため、「3条書面」と呼ばれています。
「3条書面」に記載すべき事項は、以下の12項目です。
① 発注者および受注者の名称
② 発注日
③ 発注内容 (内容が分かるよう明確に記載する)
④ 納期
⑤ 納品場所
⑥ 納品物を検査をする場合は、検査を完了する期日
⑦ 代金の額 (具体的な金額、または算定方法)
⑧ 代金の支払期日
⑨ 手形を交付する場合は手形の金額
⑩ 一括決済方式で支払う場合は、金融機関名、貸付けまたは支払可能額、親事業者が下請代金債権相当額または下請代金債務相当額を金融機関へ支払う期日
⑪ 電子記録債権で支払う場合は、電子記録債権の額および電子記録債権の満期日
⑫ 原材料等を有償支給する場合は、その品名、数量、対価、引渡しの期日、決済期日、決済方法
下請取引の際には、発注書面に必ず上記の必要事項を記載するようにしましょう。書面が交付されていても、記載事項が漏れている場合は下請法違反となるため、抜け漏れがないかリーガルチェックを行うことが重要となります。
おわりに
今回は「書面の交付義務」について具体的に確認しましたが、「60日以内の支払期日を定める義務」や、「下請取引に関する書類を作成し、保管する義務」など、すべての義務をきちんと確認し、守る必要があることは言うまでもありません。
詳細は、公正取引委員会のウェブサイト「親事業者の義務」を確認するようにしてください。
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