最低限知っておきたい、アルバイトやパートタイムを雇う場合の注意点

人事・採用

企業では必要に応じてアルバイトやパートの人員を雇う場合があると思いますが、正社員を雇う場合と何が違い、どのような対応が必要なのでしょうか?

今回はパートやアルバイトの労働者を雇用する場合に、最低限知っておきたい注意点や保険の知識について説明します。

なお、アルバイトとパートは何が違うの?と思われる方もいるかもしれませんが、法的なちがいはありません。以下では、両者をまとめて「パート労働者」とします。

最低賃金を守ろう

パート労働者を雇う場合、まずは時給をいくらにするか決めなくてはなりません。その際、参考にすべきは「最低賃金」です。文字通り、労働者に最低限支払うべき賃金のことで、都道府県によって設定される「地域別最低賃金」と、特定の地域と産業に対して設定される「特定最低賃金」の2種類があります。なお、両方の最低賃金が適用される場合は、高い方の賃金を支払わなければなりません。

地域別最低賃金は、毎年10月頃に改定されていますので、最低賃金以下になっていないか、その都度、確認するようにしましょう。特定最低賃金は厚生労働省のウェブサイトに一覧が掲載されていますので、こちらをご確認ください(https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/kijunkyoku/minimum/dl/minimum-19.pdf) 。

有給休暇は付与義務がある?

有給休暇は、一定の期間継続勤務した労働者に与えることが、法律で義務付けられています。

つまり、正社員、パートなどの働き方の違いに関係なく、次の条件を満たす場合は有給休暇を与えることになります。

  • 週1日以上または年間48日以上、勤務する
  • 雇われた日から6か月以上継続勤務している
  • 決められた労働日数の8割以上出勤している

パート労働者の有給休暇の日数は、1週間の決められた勤務時間 (週所定労働時間) や勤務日数 (所定労働日数) に応じて付与されます。

具体的には厚生労働省の「年次有給休暇とはどのような制度ですか。パートタイム労働者でも有給があると聞きましたが、本当ですか。」の表をご参照ください。

なお、2019年4月からは有給休暇の消化が義務化され、年10日以上の有給休暇が付与されている労働者に対して、付与する有給休暇のうち5日分を確実に取得させることが義務付けられました。パート労働者も対象となる可能性がありますので、ご注意ください。

労災保険

労災保険は雇用形態にかかわらず、すべての労働者が加入の対象となります。そのため、パート労働者であっても忘れずに労災保険の加入手続きをしましょう。

雇用保険

「雇用保険」とは、労働者が失業した場合、また育児や介護で収入減となった労働者への支援に備える社会保険の制度です。雇用保険の加入要件は「31日以上雇用されることが見込まれ、1週間の労働時間が20時間以上であること」ですので、この条件に当てはまれば、パート労働者でも雇用保険への加入が必要となります。

なお、「労災保険」と「雇用保険」をまとめて「労働保険」といい、労働保険に加入する場合には、労働基準監督署または公共職業安定所に「保険関係成立届」を提出します。

社会保険 (健康保険、厚生年金)

パート労働者の社会保険の加入条件は、次の2つです。

月の労働日数と1日の労働時間が正社員の4分の3以上であること。
②勤務日数・時間が正社員の4分の3未満でも、次の5条件を満たした場合

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 月額賃金が8.8万円以上 (年約106万円以上)
  • 勤務期間が1年以上見込まれること。
  • 学生でないこと(夜間・定時制の方は除く)
  • 従業員501人以上の企業であること (または、従業員500人以下の企業で、労働組合などと事業主が社会保険の加入について合意していること)

おわりに

以上、パート労働者を雇ううえで、知っておくべき基礎知識について確認しました。

なお、関連する重要な法律として、「パートタイム・有期雇用労働法」がありますので、こちらについては別記事にて解説する予定です。

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