採用担当者必見! 企業リスクに直結する「就活ハラスメント」を防止しよう

人事・採用

採用面接やインターンシップなどにおける就活生へのハラスメントがあとを絶ちません。新型コロナの影響で一気に普及したオンライン面接によって、ウェブならではのハラスメントも発生しています。

日本ハラスメント協会が2019年に全国の就活生のために「就活ハラスメント無料相談ホットライン」を設置したところ、2021年卒の就活生を対象とした相談件数は142件にのぼりました。また、厚生労働省が今年4月に発表した調査では、4人に1人が就活中にセクハラ被害にあったと答え、女性だけでなく男性も同じくらい被害に遭っている実態が明らかにされています。

そうした状況にもかかわらず、企業側の対策は遅々として進まず、2021年6月の調査では何らかの対策をしている企業はわずか6%にとどまりました。

「就活ハラスメント」が起きると、優秀な人材を逃すばかりか、法的トラブルにも発展するおそれがあり、事案の性質上、企業イメージが悪化するのは避けられません。

今回は、増加する「就活ハラスメント」とはどのようなものなのか、企業はどのような対策すべきなのかについて詳しく説明します。

こんな言動は厳禁! 「就活ハラスメント」の具体例

就活ハラスメントとは、「就活セクハラ」や「就活オワハラ」など、企業の採用担当者が就活中の学生らに対して行うハラスメント行為を指します。学生の立場の弱さを利用した、非常に卑劣な行為といえます。

では実際にどのような言動が「就活ハラスメント」に該当するのでしょうか? 具体例で確認してみましょう。

(1) その質問、採用に関係ありますか?

「今、付き合っている人はいますか?/ 近いうちに結婚予定はありますか?」

「そんな甘い考えでは、うちではやっていけないよ」

「他の候補企業をすべて辞退するなら、この場で内定を出しますよ」

当たり前かもしれませんが、面接などの場で採用選考と無関係の質問は控えるのが鉄則です。また、相手を威圧するような発言にも気を付けましょう。

ほかにも、知識がない経営者や担当者は、人権侵害になるような質問をうっかりしてしまうおそれがありますので注意が必要です。例えば、兄弟の数、尊敬する人、購読している新聞などは不適切な質問とされています。

面接内容は、学生によって録音されている可能性もあるので、気を引き締めて面接にあたってください。

(2) ウェブカメラを悪用しない!

「カメラで部屋の奥のほうを見せてもらえますか?」

「背が高そうですね。ちょっと立ち上がって全身を見せてもらえますか?」

このように、ウェブカメラで選考と直接関係のないものを映してほしいと頼むのは、オンライン面接で起こりがちなNGケースです。ウェブカメラで部屋の中や、学生の後ろ姿・全身などを映すように指示するのは絶対にやめましょう。

(3) 食事やお茶に誘う目的は?

OB訪問やインターンシップ中に、会社の有益な情報提供を目的として、食事やお茶に誘うのは問題がないように思えます。しかし、それを口実に、交際を迫ったり、わいせつ行為に及んだりするケースが多数報告されているのも事実です。

NGかどうかの判断ポイントは、採用担当者の人数や学生の人数、そして場所と時間帯。

複数の学生と日中のファミレスで話をするのはOKでも、一人の学生と夜遅く居酒屋で酒を飲みながらはNGと考えてください。

就活生側は「断ると採用に響くのでは」と心配で、断りにくい立場にあることを忘れてはいけません。

就活ハラスメントが企業に与えるリスクとは

会社には使用者責任 (民法715条) があります。そのため、ハラスメント加害者の行為に関して、会社も不法行為による損害賠償請求を問われる可能性があります。

また、トラブルがSNSを通じて炎上すれば企業イメージは悪化し、将来の採用にも悪影響が出るのは必至です。被害が広く報道されれば株価にも影響し、株主代表訴訟を起こされるような事態も起こり得ます。

企業にできる対策とは

では、企業としては具体的にどのような対策をしておくべきでしょうか。

先行して取り組んでいる企業が導入している対策には、下記のようなものがありますので、参考にしてみてください。

① 採用面接は複数担当者で行う
② 面談予定の申告と面談後の報告の徹底
③ 採用活動に関わる社員に対する「就活ハラスメント防止研修」を定期的に実施
④「就活ハラスメント専用相談窓口」の設置

コストのかからない対策から

人手やコストに限りのある中小企業やスタートアップ企業の場合、ハラスメント対策になかなか手が回らないかもしれません。しかし、何かと炎上が起きやすい昨今、ビジネス拡大のためにはリスクの芽を可能な限り摘んでおくことが重要です。まずは、「面接予定を社内で共有しておき、結果について全員に報告する」とか、「面接前に、就活ハラスメントについて解説されたウェブサイトを読んでおく」といった、簡単なことから実行してみてください。ランチタイムなどに、実際に起きた事件について話題にしてみてもよいかもしれません。まずは、危機意識を持つことから始めましょう。

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