利用しないともったいない! 外国人労働者を雇ったら助成金を申請しよう

外国人雇用

近年、人手不足解消のため、外国人労働者の雇用に踏み切る企業が増えています。

事業主が従業員を雇用する際に、国から「助成金」を受け取れる場合がありますが、雇うのが外国人であっても例外ではありません。

利用するためには、まずどんな助成金があるのか調べたり、書類を揃えたりしなくてはならないので、ちょっと面倒だな、と感じられるかもしれませんが、せっかく利用できる条件がそろっているのにスルーしてしまうのは、あまりにも勿体ない!以下では、外国人を雇用した場合に利用できる助成金について紹介します。

助成金とは?

雇用関連の助成金は、主に厚生労働省が所管しています。厚生労働省では、労働者の雇用環境を安定させる政策の一環としてさまざまな取り組みを行っており、そのひとつが「雇用関連の助成金」。労働者の職の安定に関わる取組みを行った事業主に、その費用の一部を支給するものです。

助成金は補助金と異なり、条件を満たせば受けられることや、返済不要であることが特徴です。もっとも、中には条件が厳しいものがあり、申請すれば必ず受けられるとは限りません。また、必要書類や申込み時期などをしっかり確認する必要があります。

なお、厚生労働省のウェブサイトでは「雇用関係助成金検索ツール」を利用して、取扱内容や対象者のキーワードから、助成金を検索することができます。まずは利用できるものがあるか、探してみてはいかがでしょう (事業主の方のための雇用関係助成金) 。

事業主なら誰でも受給できる?

助成金を受給するためには、いくつか条件を満たしている必要があります。細かな条件は助成金によって異なりますが、共通する基本条件は下記のとおりです。

  • 雇用保険適用事業所の事業主であること
  • 支給のための審査に協力すること
  • 直近6ヶ月以内に会社都合の解雇をしていない
  • 過去3年間に助成金の不正受注をしていない
  • 風俗業等関連の事業主ではない
  • 過去1年間に労働関係の法令違反をしていない

詳細は、「各雇用関係助成金に共通の要件等」 (厚生労働省) で確認してください。

申請方法

助成金の申請は、最寄りの労働局やハローワークで受け付けています。

直接窓口に出向くほか、郵送やオンラインでも申請可能です。詳細は「雇用関係各種給付金申請等受付窓口一覧」で確認できますが、手軽に利用できるオンラインがおすすめです。

オンライン受付システム:https://kochokin.hellowork.mhlw.go.jp/prweb/shinsei/

操作マニュアルリーフレットもご参照ください。

主な助成金

(1) 雇用調整助成金

「外国人を雇った後、すぐにコロナ感染拡大により景気が悪化して、雇い続けるのが困難になった…」

そんな場合は、こちらの助成金が利用できるかもしれません。

「雇用調整助成金」は、景気悪化など経済的な理由で、事業縮小をすることになった事業主が、従業員を一時的に休業させたり、教育訓練を受けさせたりして、雇用維持を図ったことに対して交付される助成金です (閑散期であることや、災害・事故による事業縮小は対象外) 。 なお、2021年11月初頭現在、新型コロナ感染拡大に伴い、雇用調整助成金について特例措置が実施されています。都度、制度の見直しが図られているため、支給金額のほか、申請手続きや書式、支給までの流れ等は、厚生労働省のウェブサイトで最新のものを確認するようにしてください。

(参考資料:雇用調整助成金ガイドブック)

(2) トライアル雇用助成金 (一般トライアルコース)

「これまで定職に就いたことのない、ニートの外国人をハローワークから紹介されたが、仕事を任せられるか心配だ…」

そんな場合は、「トライアル雇用助成金」を検討してみてください。トライアル雇用助成金は、就職経験の不足などが理由で、就職が難しくなってしまった求職者のための救済制度として創設されました。ハローワークなどの職業紹介事業者の紹介によって、一定期間、試行雇用をした事業主が利用できる、「お試し雇用」のための助成金です。

  • 金額:1人あたりの支給額が月額4万円 (最長3ヶ月)
  • 手続き方法:使用期間開始から2週間以内に「トライアル雇用実施計画書」を作成・提出。
  • 支給時期:トライアル雇用期間 (原則3ヶ月)終了後2ヶ月以内に、「トライアル雇用助成金支給申請書」を提出。3ヶ月分が一括で振り込まれます。

詳細は厚生労働省のウェブサイトを確認してください。

(3) 人材確保等支援助成金 (外国人労働者就労環境整備助成コース)


「外国人を雇ったので、就業規則やマニュアルを外国語に翻訳しようと思っている」

そんなときは、こちらの助成金が利用できる可能性があります。

外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を実施し、外国人労働者が定着しやすい職場作りに取り組む事業所に経費の一部が助成される制度です。

ただし、取組み終了後1年経過後の外国人労働者の離職率が10%以下であることなどの要件を満たしている必要があります。

  • 金額:従業員の生産性の向上が認められる場合は、支給対象経費の2/3 (上限額72万円) 、認められない場合は支給対象対象経費の1/2 (上限額57万円) 。
  • 手続き方法:「雇用管理制度整備計画」を作成・提出。
  • 支給時期:計画期間の終了から1年後に申請 (1年経過後までの離職率が、目標値以上に低下する必要あり) 。

詳細は厚生労働省のウェブサイトを確認してください。

(4) 人材開発支援助成金 (職業能力開発コース)

「正社員として雇用した若手外国人のスキルアップのために、外部の専門学校で研修を受けさせたい」

そんなときは、「人材開発支援助成金」を利用しましょう。職業訓練などを実施する事業主に対して、訓練にかかる経費や賃金の一部などを助成し、従業員のキャリア形成を促進することを目的とした助成金です。

特定訓練コース、一般訓練コースなど、全7種類あり、コースごとに受給条件や金額が異なりますので、詳細は厚生労働省のウェブサイトを確認してください。

例えば、特定・一般訓練コースの場合、「訓練計画」を作成し、訓練開始日の1ヶ月前までに提出、その後、訓練開始日の翌日~2ヶ月以内に「訓練開始届」を提出します。訓練が終了したら、その翌日~~2ヶ月以内に「支給申込書」を提出します。支給金額は、中小企業、200時間以上の訓練の場合、最大で50万円です。

(5) キャリアアップ助成金 (正社員化コース)

「非正規で雇用していた外国人を正社員にする」

そんなときは、こちらの助成金申請を検討するとよいでしょう。非正規雇用から、無期または正社員雇用への転換に対して交付される助成金です。

  • 金額:有期雇用から正社員化した場合は1人当たり57万円 (大企業は42万7500円) 、有期雇用から無期雇用に条件変更した場合は1人当たり28万5千円 (大企業は21万3750円) 。生産性の向上が認められる場合は、増額されます。
  • 手続き方法:「キャリアアップ計画」を作成・提出。
  • 支給時期:正社員・無期雇用に変更後、6ヶ月分の賃金 (以前より5%以上賃金がアップしていることが条件) を支給した日の翌日から2ヶ月以内に申請。

なお、「正社員化コース」のほかにも、外国人が安心して働けるよう、職場環境や労働条件の整備を支援するための「諸手当制度等共通化コース」があります。賃金改定や、健康診断制度を創設などを行った場合に申請可能です。詳しくは厚生労働省のウェブサイトを確認してください。

まとめ

外国人労働者の雇用には人手不足解消だけでなく、新たな知見が得られたり、インバウンド事業の拡大に貢献してもらえるなど、さまざまなメリットがあります。その一方で、ビザ取得等の手続きや教育のコストなど、負担も小さくありません。その際は、利用できる助成金を活用することを検討してみてください。それぞれの助成金において、必要書類や提出時期が異なりますので、しっかり確認したうえで手続きを進めましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました