景品を配るときは、限度額に気をつけて

会社法

展示会やイベント、歳末セールなどを開催する場合に、お客様に景品やノベルティを提供する場合があると思います。その際、配布する景品には、景品表示法という法律で最高額が定められているので注意が必要 です。

理由は消費者保護のためです。

豪華な景品につられて、質の良くないものや割高なものを買わされてしまうことは、消費者にとって不利益になります。また、過大景品による競争がエスカレートすると、事業者は商品・サービスそのものでの競争に力を入れなくなり、これがまた消費者の不利益につながっていくという悪循環を生むおそれがあります。そのため、景品の最高額や総額を規制して、消費者の利益が守られているのです。

以下、どんな景品を付ける場合に、どのような規制があるのか、具体的に確認していきます。

法律上の景品とは?

景品と聞けば、おまけや粗品のことが思い浮かぶと思いますが、法律的な「景品」は、以下の3つに当てはまるものを指します。

①消費者を誘引する手段として

自己の供給する商品・サービスの取引に付随して提供する

③物品や金銭など、経済上の利益

このうち②の「取引に付随」という点ですが、必ずしもお客様が「お金を払って購入した場合」に限らず、「何も買わなくても、来店したら物品を配る場合」も当てはまります。

また、③の「経済上の利益」とは、「形ある物品」だけではなく、コンサートへの招待などの「サービスの提供」も含まれます。

どんな「景品」が規制されているの?

法律で規制されている景品には、次の3種類があり、それぞれ 提供できる景品類の限度額等 が定められています。

(1) 一般懸賞に関するもの

(2) 共同懸賞に関するもの

(3) 総付景品に関するもの

限度額を大きく超えて提供した場合には、景表法違反として、消費者庁から措置命令が出されることになります。措置命令についての詳細は、こちらの記事を参考にしてください。

以下、(1)~(3)それぞれについて詳しく説明します。

(1) 共同懸賞

商品やサービスを利用するお客様に、くじやゲームなどを行って、一定の地域や業界の事業者が共同して景品類を提供 することを「共同懸賞」といいます。

例えば、商店街の福引きや、ショッピングモールでスタンプを3つ集めて応募する催事のようなものが該当します。

次項で説明する「一般懸賞」との違いは、複数の事業者が共同で実施するという点です。

共同懸賞における景品類の限度額は、

取引価額にかかわらず30万円 (総額:懸賞に関する売上予定総額の3%)

です。

(2) 一般懸賞

商品やサービスを利用するお客様に、くじやゲームなどを行って景品類を提供することを「一般懸賞」といいます。

くじ引きなどの方法の点では、共同懸賞と同じで、例えば「500円お買い上げ毎に1回くじを引け、当たったら○○プレゼント」や、「クイズに正解したら、もう1本ゲット」などが該当します。

一般懸賞における景品類の限度額は、

・懸賞による取引価額が5,000円未満の場合→景品類の最高額は「取引価額の20倍」

・懸賞による取引価額が5,000円以上の場合→景品類の最高額は「10万円」

(総額:懸賞に関わる売上予定総額の2%)

です。

(3) 総付景品

消費者に対して「懸賞」によらずに提供される景品類は、「総付景品 (そうづけけいひん)」「ベタ付け景品」等と呼ばれています。

商品・サービスの利用者に対してもれなく提供する粗品・金品等がこれに当たります。商品・サービスの購入申し込み順、または来店の先着順により提供される金品等も総付景品に該当します。

例えば以下のような場合があります。

  • 展示会で来場者全員に粗品を配布する
  • 特定の出荷数におまけをつける (化粧品にエコバックをつけて販売するなど)

総付景品の限度額は、

取引価格が1,000円未満→200円

取引価格が1,000円以上→取引価額の20%まで

です。

オープン懸賞

新聞、テレビ、雑誌、ウェブサイトなどで企画を広く告知し、商品の購入や来店を条件とせずに申し込むことができ、抽選で賞品が提供される場合、景表法の規制は適用されません

このような企画は「オープン懸賞」と呼ばれています。

オープン懸賞で提供できる金品等の最高額は、以前は1,000万円とされていましたが、平成18年4月に規制が撤廃され、現在では具体的な限度額がなくなりました。

おわりに

上記のように、景品には、懸賞の形態ごとに限度額が決まっていますので、キャンペーン等で景品を配布する際は限度額を超えないように、くれぐれも気をつけましょう。

参照:消費者庁「景品規制の概要

監修 : 板井 貴志 (フォーサイト総合法律事務所 パートナー弁護士)

金沢大学法学部・東北大学法科大学院卒業。
スタートアップ企業や上場企業を中心に、AI、Fintech、SaaS、WEB3.0、ロボティクス、EC、システム/アプリ/ソフトウェア取引、個人情報・ビッグデータ、通信・セキュリティなどのテック分野での助言を行う。
特に、スタートアップ企業やIPO準備企業に対する資金調達支援、ビジネスモデル適法性審査、知財活用などの助言実績多数。
外部役職として、社外監査役や各種アクセラレーションプログラムのメンター等。

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