その広告、行き過ぎた表現になっていませんか?「優良誤認表示」に注意しよう

会社法

消費者庁は1月20日、大幸薬品の空間除菌剤「クレベリン」シリーズ4品に対し、景品表示法上の優良誤認 に当たるとして、措置命令 を行いました。それに対し大幸薬品は、「措置命令は誠に遺憾」であり、「速やかに必要な法的措置」を講じると発表、対抗の構えを見せています。

今回は、商品やサービスを宣伝する際に注意すべき「景品表示法」と、同法が規制する「優良誤認表示」について解説します。

消費者を誤解させる表示はNG

「景品表示法」は、一般の消費者の利益保護 を目的とする法律です。

消費者は、商品やサービスを購入する際、広告やパッケージの表示を参考にするため、もし実際より良いものだと見せかける表示があったり、やたら豪華な景品がついていたりすると、それにつられて、粗悪な商品やサービスを買ってしまい、不利益を被るおそれがあります。

そのため景品表示法では、①不当な表示と、②過大な景品提供 を禁止しています。そして、①不当な表示は、主に次の2種類に分けられます。

優良誤認表示 (①実際のものより著しく優良と示す表示、②事実に反してライバル会社のものより著しく優良であると示す表示)

有利誤認表示 (①実際よりも著しく有利だと誤認させる表示、②ライバル会社よりも著しく有利であると誤認させる表示)

今回はこのうち「優良誤認表示」を防ぐためのポイントについて説明します。

「優良誤認表示」とはどんな表示?

どこの企業も、自社の商品やサービスを売り込むため、広告やパッケージで商品を魅力的に伝える工夫を行い、消費者にアピールするのが普通でしょう。

しかし、その熱意が行き過ぎると、「優良誤認表示」として規制されるおそれがあります。

「優良誤認表示」とは、商品・サービスの内容について、

①実際のものより著しく優良であると示す

②事実に反して、ライバル会社のものより著しく優良であると示す

ことで、消費者に誤解を与え、間違った選択をさせるおそれのある表示 のことをいいます。

例えば、下記のような事例が優良誤認表示にあたるとされています。

・カシミヤ50%のセーターを、「カシミヤ100%」と表示して販売した。

・ボディクリームを「塗るだけで痩せる」と表示して販売したが、痩身効果を実証するデータはなかった。

違反した場合のペナルティ

次に、もし景品表示法に違反してしまったら、どのような罰則があるかについて見ていきます。

(1) 措置命令

消費者庁による調査の結果、景品表示法違反が認められた場合、再発防止策の実施などを命ずる「措置命令」が行われます。措置命令の具体的な内容には、「違反とされた表示を排除すること」、「違反した表示をしていたことを消費者に知らせること」、「今後同様の表示が行われないよう、再発防止策を実施すること」などが含まれています。

なお、違反事実が認められない場合でも、違反のおそれがある行為が見られた場合、「指導の措置」がとられることがあります。

(2)課徴金納付命令

優良誤認や有利誤認が認められた場合、違法な手段で利益を得たとみなされ、課徴金の納付が命じられることがあります。基本的には、「不当表示をしていた期間に販売された商品やサービスの売上高の3%」が課徴金対象金額になります。

おわりに

今回の「クレベリン」のケースでは、消費者庁は同製品の「空間に浮遊するウイルス・菌を除去」などの表示には合理的根拠がなく、「優良誤認表示」に当たると判断しており、さらに「ウイルス・菌のすべてを除去できるものではありません」などの表示が、消費者の商品効果に関する認識を打ち消すものではない、としています。

コロナ需要を当て込んだ表示は、とくに厳しい規制対象になると考えられるため、関連する商品やサービスを提供する企業は、引き続き慎重な対応が必要になると考えられます。

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