2022年1月1日「改正雇用保険法」の施行で、企業には求められる対応とは?

会社法

2022年1月1日、改正雇用保険法が施行されました。

改正法により、65歳以上で兼業や副業を行っている人に対する雇用保険の適用範囲が拡大されました。

以下では、法改正の具体的な内容と、企業に求められる対応について説明します。

法改正で具体的に何が変わったの?

今回の改正で、 65歳以上の兼業・副業者であっても、労働時間を合算して週20時間以上であれば、雇用保険に加入できるようになります。これを 「雇用保険ジョブマルチホルダー制度」 といいます。

背景にあるのは、少子高齢化による労働人口の減少です。65歳以上の人の割合が、総人口の21%以上を占めるまでになった昨今、働き手としての高齢者に大きな注目が集まるようになりました。

しかし、これまで、65歳以上の高齢者に対する雇用保険の適用条件には、下記のような制限がありました。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  • 31日以上引き続き雇用されることが見込まれること

それが今回の改正法によって、下記のとおり変更されました。

  • 2つ以上の事業主に雇用される65歳以上の人
  • 1つの事業主における一週間の所定労働時間が20時間未満
  • 1週間の所定労働時間の合計が20時間以上

まとめると、 65歳以上の兼業・副業者で、2つ以上の勤め先における1週間の合計労働時間が20時間を超えていれば、2つの事業所のどちらか、または両方で雇用保険に加入することができる ということです。

実際、高齢者は、非正規雇用や副業・兼業で働く人が増えているため、現実に即した変更といえるでしょう。

ただし、適用されるには、あくまで「従業員からの申し出」が必要です。労働者の意思に関係なく、機械的に雇用保険に加入にはなりません。

企業のメリットは?

今回の改正は、65歳以上の労働者にとって、失業時のセーフティネットを確保できるなど大きなメリットがあります。

では、企業側にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

前述したように、少子高齢化による労働力不足は深刻さを増すばかりです。高齢者が働きやすい環境が整えば、 企業も労働力を確保しやすくなるというメリット があるのです。

企業にどんな対応が必要になる?

今回の改正で雇用保険に加入できるようになった65歳以上の労働者は、自ら管轄のハローワークに雇用保険被保険者資格取得届を提出する必要があります。

その際、企業側は、労働者からの依頼を受けることで、手続きに必要な証明 (雇用の事実や所定労働時間など) をしなくてはなりません。詳細は、厚生労働省のパンフレット「雇用保険マルチジョブホルダー制度の申請パンフレット」を参照してみてください。

おわりに

今回の改正で、65歳以上の労働者が被保険者資格を得やすくなるため、高齢者が働きやすい環境の整備がますます進むものと期待されています。

なお、労働者がこの制度の利用を申し出たことで、解雇や雇止め、労働条件の不利益変更など、不利益な取扱いを行うことは法律上禁じられていますので、注意しましょう。

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