企業が押さえておくべき「セクハラ」規制強化の現状

セクハラ

セクハラは広く社会問題化していますが、職場におけるセクハラ・トラブルは後を絶たないのが現状です。実際、都道府県労働局雇用均等室に寄せられた男女雇用機会均等法に関する相談の半数が、セクハラに関する相談となっています。

そうした現状を踏まえ、企業にセクハラ防止措置を義務付ける法規制も強化されています。

以下ではセクハラに関する法改正の現状について紹介します。

法改正による規制強化の現状

1997年6月、男女雇用機会均等法改正の際に、使用者にセクハラ防止をするための雇用管理上の配慮をする義務が規定されました。また、2006年の同法改正により、女性労働者だけではなく男性労働者に対するセクハラについても対象とされることになり、セクハラ防止のための使用者の措置義務も規定されました。

さらに2019年5月には、パワハラ防止法(改正労働政策総合推進法)が成立し、同時にセクハラ規制の強化策を盛り込んだ法改正も行われています(大企業は2020年6月、中小企業は2022年4月1日に施行)。

新たな規制4つ

最新の法改正では、以下の4つの規制が新たに盛り込まれました。

①セクハラに関する国、事業主・労働者の責務の明確化

「セクハラをしてはいけないこと」が初めて法律で規定されました。「他の労働者に対する言動に注意を払うことなどを関係者の責務」とし、関係者とは上司、部下、同僚のほか、取引先の従業員も含むとしています。

②事業主に相談した労働者への不利益取り扱いの禁止

セクハラ被害に関する相談をした従業員を当人の不利益に扱うことが禁止されました。例えば、相談をした従業員を解雇する、望まない配置転換をする、降格処分をする、といったケースが「不利益取り扱い」に該当します。もし不利益な取り扱いをした場合、都道府県労働局から助言、指導、勧告を受け、それでも従わない場合は企業名が公表されることになります。

③自社の労働者が他社の労働者にセクハラを行った場合の協力対応

自社の従業員が他社の従業員からセクハラを受けた場合、事実確認などの協力を要請できることになりました(努力義務)。

④紛争調停への職場の同僚の出頭・聴取対象者の拡大

セクハラ被害者が紛争調停委員会の調停を受ける際に、紛争調整委員会が必要と認めた場合には、職場の同僚などを参考人として出頭を求め、意見聴取ができるようになりました。

おわりに

セクハラ防止の法規制は時代とともに厳格化しています。法規制に則った措置をとることは会社の義務であり、仮にトラブルが悪化して裁判になった場合も、会社が法に基づく防止措置をとっていたかどうかが厳しく問われます。そのため、会社としてどのような義務を負っているか、最新の法改正の内容についても、きちんと押さえておくことが肝心です。

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