「業務委託契約」の注意点を押さえてトラブルを防ごう

人事・採用

フリーランスで働いている人に、業務委託の形で仕事を依頼する場合があると思います。

例えば、システムエンジニアやカメラマンに単発の仕事をお願いする際に、「業務委託契約」を締結して働いてもらったことがあるかもしれません。

ただし、そうしたフリーランスで働く人と業務委託契約を結ぶ際は、守るべき決まり事があり、それを守らないでいると、業務委託ではなく雇用だと指摘を受けて、労働基準法違反を問われるおそれがあります。

今回は、業務委託契約を結んで仕事を任せる場合に注意したいポイントについて、詳しく確認していきます。

「業務委託」に該当しないケースとは?

業務委託契約は、大きく分けて業務の遂行を依頼する「委任契約」と、業務の完成を依頼する「請負契約」の2種類がありますが、どちらの場合でも、仕事を引き受けた者が、どこで、どのように仕事を行うかは、その人の裁量に委ねられています。

つまり、会社側は、業務の進め方や働く場所・時間に対して、口出しすることができません

そのため、もし会社側が直接指示を出したり、管理したりすると、それは「委託」ではなく「雇用関係」ではないか?と指摘されてしまうおそれがあるのです。

雇用関係かどうかは、委託者が労働基準法上の「労働者」に該当するか否か、つまり「労働者性があるかどうか」に関わってきます。

次に、この「労働者性」について説明します。

「労働者性」とは?

法律上、「労働者」とは、事業または事業者に使用される者で、賃金を支払われる者をいう」と規定されており、労働者に該当するかどうかは、

① 労働者が他人の指揮監督下で働いているか

② 報酬が「指揮監督下における労働」の対価として支払われているか

によって判断されます。

そして、①は、以下のような要素が考慮されます。

①仕事の依頼、業務指示などに対する諾否の自由の有無

②業務遂行における指揮監督の有無

③拘束性の有無 (勤務場所および勤務時間の指定の有無)

④業務提供の代替性の有無 (本人に代わって、他の人の労務提供が認められているかどうか)

上記の判断基準によって「労働者性あり」と判断されれば、たとえ業務委託契約を結んでいたとしても「実質的には雇用契約である」と認定されて、労働法の適用が認められることになります。

(参照:内閣官房ほか「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」令和3年3月26 日)

「労働性」が認められると具体的にどうなる?

もし「労働者性」が認められると、雇用関係にある従業員と同様に、法律上のさまざまな保護の対象となります。

例えば、労災保険・雇用保険・健康保険・厚生年金保険の加入、年次有給休暇の付与、残業代等の割増賃金の支払いのほか、契約解消に関しては雇止め法理が適用されるといったことがあります。

おわりに

外部の労働力を柔軟に活用できる業務委託は、企業にとって非常に有益な選択肢です。ただし、業務委託のルールを正しく理解していないと、実際の就労実態と合っていないと認められてしまうおそれがあります。

そのため、フリーランスで働く方と業務委託契約を締結する際には、契約書の記載内容および働き方の実態の点で、「労働者」に該当しないよう注意するようにしてください。

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