1993年に導入されて以来、すっかり日本に定着した感のある「技能実習制度」。2020年末時点でおよそ38万人の技能実習生が就労しています。以下では、初めて技能実習生を受け入れようとしている企業向けに、具体的に何をどうすればよいのか、ステップごとに手順を説明するとともに、必要な知識をまとめました。
なお、技能実習生の受け入れ方法には、「企業単独型」と「団体監理型」の2つがありますが、9割以上が「団体監理型」ということもあり、ここでは「団体監理型」の場合に限って説明しています。
採用までの大まかな流れ
まずは、技能実習生の採用から就労開始までのおおまかな流れを確認しておきましょう。
採用活動の開始から、実際に実習生として会社で働き始めてもらうまでには、様々な手続きが必要となり、全体で半年ほどかかるとされています。
ステップ1:管理団体への加入
ステップ2:求人・面接・採用
ステップ3:「技能実習計画」の作成および認定申請 (約1ヶ月)
ステップ4:「在留資格認定証明書」交付申請 (通常、管理団体が申請)
ステップ5: (入国した実習生が約1ヶ月間の講習を受ける間に) 受け入れ準備
以下、詳しく確認していきます。
ステップ① 管理団体への加入
技能実習生の受け入れを決めたら、まずは「監理団体」に加入します。
監理団体とは、求人の取次ぎや必要書類作成の指導、入国後の講習、受け入れ企業の監査などを行う非営利団体です。団体監理型の企業は、必ずこの団体に加入しなくてはなりません。2021年3月1日時点で全国に3245の監理団体があり、その中から自社のニーズに合った団体を選ぶことになります。選ぶポイントとしては、監理団体の所在地や今までの実績、扱える国、職種、作業などが挙げられます。管理団体の詳しい情報については、外国人技能実習機構のHPで確認してください。 (https://www.otit.go.jp/search_kanri/) 。
ステップ② 求人・面接・内定
加入した監理団体が提携している各国の「送り出し機関」を通じて求人を行い、要望にマッチした候補者を選出してもらいます。候補者が集まり次第、企業は現地を訪れる、もしくはオンラインで候補者の面接を実施し、内定者を決定します。
ステップ③「 技能実習計画」の作成および認定申請
外国人の採用が決まったら、「技能実習計画」を策定します。技能実習計画とは、技術実習を適正に行うために受け入れ企業が作成するもので、技能実習を行う際の責任者の氏名や、技能実習生の待遇 (給料、労働時間、休日、宿泊施設) について記載します。詳細な記載内容については、厚生労働省が掲載している記載例を参照してください(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/global_cooperation/002.html) 。
「技能実習計画」を作成したら、外国人技能実習機構 (地方事務局) へ認定申請を行います。その際、様々な書類の提出も合わせて必要となります。必要書類の詳細は、出入国在留管理庁のウェブサイトで確認できます (https://www.moj.go.jp/isa/content/930005231.pdf) 。
申請は実習開始日の6ヶ月前から可能で、3ヶ月前までに行うことが必須となっているので注意しましょう。申請後、認定が出るまでに、およそ1~2ヶ月がかかります。
ステップ④ 「在留資格認定証明書」交付申請
外国人実習機構から「技能実習計画認定通知書」が発行されたら、法務省出入国管理庁へ在留資格認定証明書交付申請を行います。これは、実習生が日本で行う活動の内容を証明する書類で、これに記載のない活動は認められないことになっています。通常、この申請は管理団体が行い、申請から許可までにはおよそ1~3ヶ月かかります。
申請が許可されると「在留資格認定証明書」が交付されるので、これを外国人に送付し、在外公館でビザを申請してもらいます。通常、この申請は送り出し機関が行い、およそ、1週間程度で発給されます。
なお、証明書は有効期間が3ヶ月しかありませんので、交付後は早めに実習生の入国が必要です (現在は新型コロナの影響で、有効期間延長の可能性があります) 。
ステップ⑤ 技能実習生の受け入れ準備
技能実習生は入国後すぐに就労を開始できるわけではなく、およそ1ヶ月間、監理団体が実施する講習を受講する必要があります。講習では、日本語や日本での生活ルール、また入管法や労働法などについても学びます。その間に、受け入れ企業側は、技術実習指導員や生活指導員の選任、社会保険の準備のほか、技能実習生の住居等、生活環境の整備を行っておきます。
おわりに
技能実習生の受け入れには様々な手続きが必要で、それぞれ意外と時間を要しますので、計画的に進めなくてはなりません。また、コストも全体で数十万程度かかります。初めて受け入れる場合は、わからないことだらけで不安も大きいと思いますので、信頼できる管理団体を選択し、適切な助力を得ながら手続きを進めるようにしてください。
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