会社を大きく成長させるために不可欠なのが、優秀な人材の確保です。
そのために必要となるのが、多くの求職者にアピールできる魅力的な求人広告の作成ですが、求人広告には何でも自由に書いてよいものではなく、必ず記載すべきこと・記載してはいけないことが法律で定められています。
採用活動で無用なトラブルを招かないためにも、今回は求人広告の記載について、気を付けなくてはならないポイントを説明します。
必ず記載すべきこと
求人広告には必ず記載しなくてはならない項目があります (職業安定法) 。
「採用されて入社してみたら、広告内容と実際の給与額や勤務地がちがっていた」なんて事態が起これば大きなトラブルを招く可能性があり、さらにSNS等で拡散した場合には企業イメージの悪化は避けれれません。記載漏れや誤った記載がないよう、くれぐれも注意しましょう。
記載すべき項目は下記のとおりです。
- 業務内容
- 労働契約の期間
- 就業する場所
- 始業と終業の時刻
- 時間外労働の有無
- 休憩時間と休日
- 賃金
- 雇用残業代制を採用している場合はその旨
- 裁量労働制を採用している場合はその旨
- 試用期間の有無・期間・そのあいだの労働条件
- 募集者の氏名または名称
- 派遣労働者として雇用する場合はその旨
- 健康保険、厚生年金などの適用有無
- 受動喫煙防止措置の状況
記載が禁じられている表現
賃金や労働時間について虚偽の記載をすべきでないことは当然ですが、それ以外にも、雇用における男女差別や年齢差別を禁止するため、さまざまな法律によって禁止表現が定められています。
以下、具体的に確認していきましょう。
(1) 「主婦の方、歓迎します」「男性3人、女性2人を募集します」
男女どちらかを採用することを明記または優先するような記載は禁じられています (男女雇用均等法) 。営業マン、ウェイトレスといった性別を限定してしまう用語をうっかり使わないよう注意しましょう。ただし「主婦活躍中」のように、職場の現状をあらわすような表現は使用してもOKです。
(なお、「女性モデル」のように、職務性質上どちらかの性別に限られる場合など、いくつか例外が認められています)
(2) 「若手の方を歓迎します」「20代が活躍できる職場です」
特定の年齢層を排除する表現は禁止されています (職業安定法・雇用対策法) 。ただし「20代のスタッフがたくさんいます」のように、職場の現状をあらわすような表現とすればOKです。
(なお、長期勤続によるキャリア形成のため若年層を採用する場合など、いくつか例外が認められています)
(3) 「コミュニケーション能力が高い方」「明るくて健康な方」
身体的条件や性格などの表現の使用は差別と受け取られる可能性があるので、控えましょう。「ユーザーと明るくコミュニケーションをとれる方、歓迎します」のように、仕事への取り組み方を示す表現などはOKです。
(4) 「業界最大手」「国内最大」「同業他社のようなクレーム対応はありません」
根拠なく自社の優位性をあらわすような表現や、他社批判につながる表現は使用しないようにしましょう (景品表示法、不当表示防止法) 。
違反した場合の罰則
求人広告に故意に虚偽の記載を行った場合は、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります (職業安定法) 。また、法律違反が認められた場合には、行政指導、改善命令、企業名公表といった罰則もあります。
万が一、誤った内容を掲載してしまった場合には、直ちに訂正するとともに、応募者へ連絡する必要があります。
おわりに
採用活動を成功させるためには、求職者に対する誠意を持つことが大事です。採用のマッチング率を上げるためにも、正しい情報をわかりやすく記載するようにしましょう。
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