パワハラ被害者の社員が労働局に相談し、「あっせん」による紛争解決を望んだ場合の対応 (経営者側)

パワハラ

職場でパワハラ被害を受けた従業員が、「あっせん」という解決方法を選ぶことがあります。

以下では、「あっせん」開始の通知が届いた場合に、企業側はどのように対応すればよいかを見ていきます。

「あっせん」とはどんな制度?

「あっせん」とは、労働者 (従業員) と会社との間で起こった労働トラブルについて、専門家が間に入り、話し合いによって解決するための制度です。不当解雇、残業代請求、ハラスメントなど、多くの労働問題が対象となり、労使間の直接の話し合いでは解決が難しい場合に活用されています。あっせんは、労働者側があっせん期間を選択して申請するもので、取り扱い機関は、①労働局の紛争調整委員会と、②労働委員会の二つがあります。

あっせん手続きには参加しないとダメ?

あっせん開始の通知を受け取った企業には、① 参加の連絡をする、② 不参加の連絡をする、③ 無視する、の3つの選択肢があります。

まず、会社側にあっせん手続に参加する法的義務はありません。不参加を選択、または無視した場合、「あっせん」は不成立となり、終了します。

参加した場合は、紛争調整委員会等からあっせん案を提示されますが、受諾義務はありません。つまり、あっせん案が会社にとって不利な場合は拒否することができるのです。その場合も、あっせん手続は「不成立」となり終了します。

参加or不参加 ~どちらにメリットがある?

まず参加する場合のメリットですが、「あっせん」は手続きが迅速に進められるため、早期に解決できる可能性があります。あっせんが不成立となれば、従業員は労働審判や訴訟などの手段をとることが考えられ、そうなると時間も費用も余計にかかってしまいます。

また、参加した場合も、提示されたあっせん案を受諾する義務はありませんので、「とりあえず参加してみる」という手もあるかと思います。

参加する場合のデメリットとしては、手続きに時間と労力を要する点が挙げられます。最初から詳細な主張や立証を求められ、解決方針を確認されるため、事前に十分準備して臨む必要があります。

専門家への依頼

あっせんに参加する場合に専門家に依頼するかどうかは、ケースバイケースの判断になります。自主的な解決が見込める場合は、必ずしも専門家に依頼する必要はありません。ただし、限られた時間内で準備を行う必要があるため、対応に不安がある場合は、最初から労働問題に精通した専門家に依頼し、書面の作成から、提示された和解案についての判断まで任せるのが安心かもしれません。

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