「労使協定」とは? 届出を怠ると罰則も!

会社法

「労使協定」とは何かご存知でしょうか? なんだか難しそうな名称ですが、簡単にいうと、使用者と労働者が結ぶ約束事のようなもので、必ず書面で締結する必要があります。

労使協定を締結することで、法的な義務が免除されるなどの効果が得られるため、とても重要な役割を持っています。そのため、必要な手続きを怠ると、罰則もあります。

今回は、「労使協定」の概略と、どのような場合に必要になり、どのような罰則があるのかについて説明します。

労使協定とは?

労働者の権利を保護する法律に、「労働基準法 (労基法) 」という法律があります。

会社は社内のルール (就業規則など) を決めるとき、基本的にこの法律の範囲内で行う必要があります。しかし、法律と現場の仕事の実情には往々にして差があるため、「労働者側が同意するなら、法律の範囲外のルールもOKとする」という例外が認められており、その「例外を認めてもらうための書類」が「労使協定」なのです。

労使協定を締結することで、法律の規制を解除したり、罰則を免れたりする効力が発生します。

例えば、代表的な労使協定に「時間外、休日労働に関する協定 (通称:36協定)」があります。労基法に従えば、労働者は「1日8時間週40時間」を超える労働はできません。しかし、どんな会社でも当たり前のように残業がありますよね? これが認められているのは、この「36協定」を締結しているためです。

どのような労使協定が必要になるかは、会社の仕事内容や働き方によって異なりますので、以下で確認しておきましょう。

労使協定の種類

労働者の同意があればどんな協定でも認められるわけではありません。労基法によって項目が定められており、①労基署に届出が必要なものと、②届出が必要ないものがあります。届出が必要なものは、怠った場合6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性があるので注意しましょう。以下、それぞれについて列挙します。

① 労基署に届出が必要な労使協定

  • 労働者の貯蓄金を委託を受けて管理する場合の労使協定
  • 1ヶ月単位の変形労働時間制に関する労使協定
  • 1年単位の変形労働時間制の労使協定
  • 1週間単位の非定型的変形労働時間制の労使協定
  • 時間外・休日労働に関する労使協定 (いわゆる「36協定」)
  • 事業場外労働のみなし労働時間制に関する労使協定 (事業場外の法定労働時間内に収まっていれば届出はなくてもOK)
  • 専門業務型裁量労働制に関する労使協定

① 労基署にへの届出が必要ない労使協定

  • 賃金から法定控除以外のものを控除する場合の労使協定
  • フレックスタイム制の労使協定
  • 休憩の一斉付与の例外に関する労使協定
  • 年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定
  • 年次有給休暇の賃金を標準報酬日額で支払う場合の労使協定
  • 育児休業および介護休業ができない者の範囲に関する労使協定
  • 看護休暇の適用除外者に関する労使協定
  • 継続雇用制度に関する労使協定

それぞれの書式は、厚生労働省のホームページ (「労働基準法関係主要様式」) よりダウンロードできます。

必要な手続きと罰則

労使協約は、従業員の代表者と締結する必要があります (代表者とは、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、ないときは労働者の過半数を代表する者)。必要な労使協定が締結されていなかった場合、労基法違反として、是正勧告や6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

また、締結するだけでなく、従業員に周知しなければなりません (方法:オフィス内の掲示や備え付け、書面交付、イントラネット上の掲示など) 。周知しなかった場合、30万円以下の罰金に処せられます。

おわりに

必要な労務協定を締結していないと、是正勧告や罰則の対象になりますので、うっかり忘れてしまわないよう注意が必要です。定期的に締結状況のチェックをすることをおすすめします。

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