働き方改革関連法のひとつ、「労働安全衛生法」の改正により、2019年4月から従業員の「労働時間の把握」が義務化されました。
適切な勤怠管理、労務管理を行うことで長時間労働を防ぎ、従業員の健康と安全を守ることが主な目的とされています。
以下では、義務化が適用される企業や労働者について確認したあと、具体的に企業が対応すべきことについて説明します。
どんな企業・労働者が義務化の対象になる?
「労働時間の把握義務」はすべての事業所が対象となります。中小零細企業であっても例外ではありません。
対象となる労働者は、高度プロフェッショナル制度の対象者を除くすべての労働者であり、アルバイトや派遣労働者も含まれます。
企業に必要な対応とは?
実際に企業が行わなくてはならないことは、以下の4点です。
(1) 労働時間を客観的に把握する義務
タイムカードやICカード、PCのログイン・ログオフ時間など、客観的な方法で労働時間を確認・記録する必要があります。違反した場合の罰則はとくに設けられていませんが、労働時間をきちんと把握していないと、労働時間の上限規制に違反する結果につながりやすくなり、結果として訴訟リスクを抱えることになります。
(2) 賃金台帳の適正な記入
従業員の労働日数や労働時間数のほか、時間外労働時間数、休日労働時間数などを賃金台帳に記入する必要があります。違反した場合は、30万円以下の罰金刑が科されるおそれがあります。
(3) 労働時間の記録書類 (タイムカードなど)を3年間保管する義務
タイムカードやICカードなど労働時間に関する記録を3年間保存しなければなりません。違反した場合は、30万円以下の罰金刑が科されるおそれがあります。
(4) 労働時間について改善する委員会の活用
必要に応じて、労働時間の改善を推進する委員会を設置し、労働時間に関する問題を検討したり、改善措置をとったりする必要があります。
おわりに
労働時間の把握は、従業員の健康を守るうえで非常に大切な義務です。
必要であればシステムを導入するなどして、正確で効率的な勤怠管理を行うようにしましょう。
(参考資料:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」)
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