「法律を味方に、企業を伸ばす」というコンセプトを体現している中小・ベンチャー企業経営者の特別インタビュー・シリーズ。ブライダルDXスタートアップ「株式会社TAIAN」の村田 磨理子社長と顧問弁護士の大杉真先生です。
TAIANは2021年11月30日の大安に資金調達を発表をしたばかりという、今、最も勢いのあるスタートアップのひとつ。村田社長は、会社経営に伴う法律問題を解決するために、弁護士に無料で質問できるサービスを活用し始めたところ、弁護士の必要性を実感し、顧問弁護士を迎えるに至ったといいます。
ビジネス環境が高度化され、中小・ベンチャー企業においてもリーガルの重要性が認識されるようになった昨今、多忙を極める経営者として村田社長がどのようにリーガル・リスクと向き合い、事業を成長させるための方策として顧問弁護士との契約に踏み切ったのか、存分に語ってもらいました。
今回は、村田社長が実際、顧問弁護士にどのような相談をしているのか伺いながら、スタートアップ企業ならではの弁護士活用の極意について探っていきます!
顧問弁護士の大杉先生には具体的にどんな相談をしているのか、差支えのない範囲で教えてください。
利用規約のチェックや契約書作成のほか、大きなところでは、資金調達の際にも手厚くお力添えいただきました。それから、受託開発で作ったシステムをSaaS型ビジネスモデルとして横展開できるような可能性についてご相談し、それに適した受託開発契約書のひな形を作成していただくなど、将来的なビジネスの可能性を踏まえて解決策を提示してくださるので、非常に助かっています。
資金調達の記事、拝見しました。このたびはおめでとうございます!
初期フェーズは、弁護士にお願いすることが多いと思いますが、今後はどんなことを相談する予定なんですか?
来年は社員を雇う予定があるので、その際にまたお力を借りると思います。大杉先生には、法律に関する相談以外でも助けてもらっていて、例えば、交渉を円滑に進めるために間に入ってくださるとか、すごく細やかな部分でもサポートしていただけるので、本当にありがたく思っています。
ありがとうございます。クライアントに寄り添ったサポートをするのは弁護士として当然のことですが、そう言っていただけて嬉しいです。
村田社長に、顧問弁護士とのコミュニケーションについてお聞きしたいのですが、普段はどのようなツールを活用して相談をしていますか?
メールとZOOMを使って相談しています。ありがたいのは、急ぎで相談したい事案が発生した際に、大杉先生に直近の日程を含めた相談候補日を連絡すると、直近の日時で予定を組んでくださることですね。契約書のレビューの戻しとかも、こちらがスピードについていけないくらいの速さで対応してくださるので(笑)、ほんとに助かっています。先生のスピードとクオリティの高さには脱帽です。
そんなにお褒めいただき恐縮です(笑)。日頃からスピード感は重視したいと思っていて、とくにベンチャー企業にとっては、なおさら「時間が勝負」みたいなときがありますからね。
改めて、中小・ベンチャー企業の経営者にリーガルマインドは必要だと思いますか? 経営にとって、リーガル・リテラシーは不可欠な要素なのでしょうか。
はい、必要だと思います。私の感覚では、リーガル・リスクへの配慮は、ビジネスの成長段階では既に遅くて、それよりもっと前、設立段階やサービス立ち上げ段階こそ必要だという気がします。例えば株の保有率のような、会社設立時に気を付けるべき事柄がたくさんあるので、その段階で周囲に気軽に相談できる弁護士がいないと、後々大変なトラブルに陥ってしまうかもしれません。
経営者本人からお答えいただくと、言葉の重みが違いますね。
すべて自己責任になるからこそ、リーガル・リスクへの配慮は必要不可欠なんです。
その意味でも、弁護士に気軽に質問できる環境を整えておくことは大事だと思います。
ベンチャー企業の経営者の中には、弁護士に相談する費用が捻出できずあきらめたり、費用は捻出できても弁護士の見つけ方やコスト感が分からなくて、弁護士活用を躊躇している方も多いと思うのですが、そうした経営者に向けて何かよいアドバイスはありますか?
そうですね、もし、その経営者が周囲に気軽に相談できる弁護士がいない場合は、例えば、私のように、まずは無料で弁護士に質問ができるサービスを使ってみるなどして、弁護士活用のメリットを肌で感じてみるのもひとつの手かと思います。
ベンチャーの経営者がリーガル・リテラシーを身につけるのは、なかなかハードルが高い気がしますが、どうなのでしょう。
大変かもしれませんが、事業を成功させるためには、経営者として「法律の観点からビジネスを捉える視点」は必ず身につけておくべきだと思っています。自分では気づいていないリスクの存在が一番怖いので、どんなに忙しくても、せめて書籍やセミナーなどで注意すべき観点を押さえておくくらいはしておかないと、必要のないリスクを背負い込んでしまいかねません。リーガル・リテラシーの高い経営者がどんどん増えて、ベンチャー業界全体の発展につながっていくといいなと思っています!
村田社長のおっしゃるとおりなのですが、経営者にとっては事業を伸ばすことが第一ですので、多忙で、法律のことまで手が回らないのであれば、プロフェッショナルに頼っていただければと思います。
この度は、「ベンチャー」×「リーガル」の対談にご参加くださり、ありがとうございました。お二人から、最後に一言ずつお願いします。
株式会社TAIANでは、主にウェディング業界のDX推進やシステム開発に取り組んでいます。日本のレガシー産業のDXを進めることで、業界全体、さらには日本全体を盛り上げていきたいという思いが強くあります。資金調達を経て、事業拡大フェーズに入った今、素晴らしいメンバーとともに、今後ますますサービスを伸ばしていきたいと思っています。
ベンチャーや中小企業の経営者の方々にとって、ちょっとしたトラブルが命取りになるおそれがあるので、早い段階から専門家の知見を味方につけておくと、トラブルの予防プラス、今後の事業展開の選択肢が増えていくんじゃないかと思います。事務所としても個人としても、「企業法務×テクノロジー」の観点から、今後もクライアントのサポートに尽力していく所存です。
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