従業員が働きやすい職場環境を保つうえで、セクハラ防止は非常に重要な意味を持ち、企業にセクハラ防止対策を義務付ける法規制も厳格化しています。
以下では、対策を講じる上で企業が知っておくべきセクハラの定義や、セクハラにはどのようなタイプがあるのかについて紹介します。
セクハラの定義
セクハラ(セクシュアルハラスメント)とは、相手の意に反して性的な言動を行うことをいいます。男女雇用機会均等法では、以下のように定義しています。
「職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により就業環境が害されること」
「性的な言動」とは、例として、性的な冗談、食事やデートへの執拗な誘い、必要なく身体に触る、性的なポスターなどを飾ること等が該当します。
なお、事業主、上司、同僚に限らず、取引先、顧客等も行為者となり、男女とも加害者にも被害者にもなり得るほか、同性に対するものもセクハラに含まれます。
セクハラのタイプ
セクハラには大きく分けて、次の2つのタイプがあります。
① 対価型セクハラ
労働者の意に反する性的な言動に対して拒否や抵抗をしたことにより、その労働者が解雇、降格などの不利益を受けることをいいます。例えば、次のものが該当します。
●経営者から性的な関係を要求されたが、拒否したら、解雇された。
●出張中の車中で上司から腰、胸などを触られたが、抵抗したため、通勤に2時間もかかる事業所に配置転換させられた。
(出典:厚生労働省「あかるい職場応援団」
②環境型セクハラ
労働者の意に反する性的な言動により、労働者の職場環境が不快なものとなり、その労働者が仕事をする上で見過ごせない程度の支障が生じることをいいます。例えば、次のものが該当します。
●事務所内で上司が腰や胸などを度々触るので、また触られるかもしれないと思うと仕事が手に付かず就業意欲が低下している。
●同僚が取引先でプライベートな交友関係の性的な内容の情報を意図的かつ継続的に流したため、そのことが苦痛に感じられて仕事が手につかない。
(出典:厚生労働省「あかるい職場応援団」
おわりに
どのような言動がセクハラに当たるかについては、「労働者の主観を重視しつつも、一定の客観性が必要である」とされており、被害を受けた労働者が女性の場合は「平均的な女性労働者の感じ方」を基準とし、被害者が男性の場合は「平均的な男性労働者の感じ方」を基準とすべきとされています。具体的には、個別判断にならざるを得ないと思いますが、基本的にどのような言動がセクハラに該当するか、まずは上記のポイントをしっかり押さえておきましょう。
参考資料:厚生労働省「セクシャルハラスメント対策に取り組む事業主の方へ」
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