「自分はパワハラなどしたことはないし、従業員と良好な関係を保っている」と、胸を張って語る経営者は意外とたくさんいます。もちろんパワハラと無縁の経営者も大勢いるでしょう。しかし、パワハラ行為者の大半が無自覚であることを思うと、念のため普段の自分の言動を振り返り、「うっかりパワハラ」をしていないかチェックすることも大切です。
愛情があれば、厳しく叱っても問題ない?
部下のためを思って愛情を持って叱るなら、少しくらい感情的に怒鳴り飛ばしても許されると思っていませんか? 残念ながら、その気持ちは従業員に伝わっていないかもしれません。「自分が若い頃は上司によく叱られたものだが、おかげで成長することができた」という話はよく耳にしますが、仕事や人間関係に対する考え方は時代とともに変わります。今の世の中、感情任せに怒鳴る行為は、「パワハラ」と受けとられる危険が高いのです。
以下は特にNGとされる叱り方の例です。
- 感情的に怒鳴る
- 性格や人格を貶める発言をする
- 他の社員の前で叱る
- 同じミスに対し、長時間、何度も叱責する
叱るときはできるだけ冷静さを保ち、ミスの原因や問題点などを客観的に指摘し、具体的にアドバイスを与えるのが理想です。叱るのは、部下に問題を認識させて、改善へと導くのが目的であることを意識しましょう。
叱るときは1対1で
部下に指導するとき、特に叱るときは、絶対に他の社員の前で行ってはいけません。社員の自尊心が著しく傷つき、メンタルヘルスを害してしまう恐れがあります。精神的な感受性は人それぞれなので、叱る側の「この程度なら平気だろう」という勝手な判断は危険です。オフィスが狭く、別室がない場合であっても、廊下や玄関ホールに移動するなど、必ず他の社員のいない場所で指導するよう配慮しましょう。
できる部下には、困難な業務を任せてもよいか
優秀な社員に、チャレンジングな仕事を任せること自体は、社員の成長につながる機会でもあり、もちろんパワハラではありません。ただ、業務上明らかに達成不可能なノルマを課すことは、「過大な要求」としてパワハラに該当する恐れがあります。
負担の大きい仕事を任せるときは、その意義をきちんと説明し、荷が重すぎると思ったらフォローするようにしましょう。
おわりに
パワハラは信頼関係のない経営者 (上司) と従業員 (部下) の間で起きがちなものです。形式的なパワハラ防止対策を身につけることも重要ですが、日頃から従業員とコミュニケーションをとり、友好的な関係を築いておくことで、パワハラの起こりにくい社内の雰囲気を醸成しましょう。
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