フレックスタイム制は、自由度が高い働き方として労働者に人気の制度ですが、企業にとってもさまざまなメリットがあります。その一方で、勤怠管理が複雑になるなど、マイナス要素もゼロではありません。
今回は、フレックスタイム制の概要や、メリット&デメリットについて解説します。フレックスタイム制の導入を検討している企業は、ぜひ参考にしてください。
フレックスタイム制とは
フレックスタイム制とは、「一定の期間について、あらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が始業・終業時刻、労働時間を自ら決めることができる制度」です。
例えば通勤ラッシュを避けて遅めに出勤したり、仕事が少ないときは早めに帰ってリフレッシュしたりと自分の都合で働く時間を調整できるため、基本的には労働者にとってメリットが大きい制度です。効率的な働き方をできるので、生産性の向上も期待できます。
必ず全員が勤務すべき時間帯 (コアタイム) が定められている企業もありますが、コアタイムの設定は必須ではありません。
残業代は発生する?
通常の労働時間制では、1日9時間働いた場合、法定労働時間を超えた1時間分の残業代が確定します。
これに対して、フレックスタイム制では、上限3ヶ月までの「清算期間」を設け、その清算期間を終えた時点で、総労働時間を超えた分について残業代が発生します。例えば、清算期間が1ヶ月で総労働時間が160時間の場合に、ある労働者が170時間働いたのであれば、10時間分を時間外労働として残業代を支払う必要があります。
逆に、働いた時間が総労働時間に満たなかった場合は、不足労働時間を翌月に繰り越したり、不足分の賃金をカットしたりすることができます。
なお、22時から5時までの深夜労働に関しては、割増賃金が発生します。
導入する際の手続きとは?
フレックスタイム制を導入するには、次の2点が必須となります。
① 労使協定の締結
② 就業規則に定め、周知すること
なお、清算期間が1ヶ月を超える場合には、「労使協定の届け出」も必要になります。
詳細については、厚生労働省の資料を参考にしてください (「フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き」)。
メリット&デメリット
会社にとってのフレックスタイム制のメリット、デメリットは以下の通りです。
(1) メリット
- 自由な働き方を認めることで、優秀な人材を採用しやすくなり、定着率も向上する。
- 個々の従業員が効率的に労働時間を配分して働くことで、残業の削減につながる。
(2) デメリット
- 自己管理ができない労働者が多いと、ルーズな働き方が蔓延してしまう。
- 一部の部署だけに導入すると、社内に不公平感が生まれる。
- 勤怠管理がやや複雑になる。
おわりに
フレックスタイム制は、会社と従業員、どちらにとってもメリットがあり、柔軟な働き方を促進する時代の流れにも則した制度です。導入を検討する際は、自社にとってのメリットを見極め、必要な手続きを確認したうえで進めるようにしましょう。
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