初めての外国人雇用:採用までの5ステップ〜④在留資格(就労ビザ)関連の手続き

外国人雇用

これまで別記事において、外国人雇用に必要となる5ステップとして、「ステップ1:募集」、「ステップ2:書類選考」、「ステップ3:面接」、「ステップ4:雇用契約書の作成」を説明してきましたが、今回は「ステップ5:在留資格 (就労ビザ) 関連の手続き」について取り上げます。

なお、この記事では、すでに国内にいる外国人を雇う場合のみを取り上げます。国外にいる外国人を呼び寄せて雇う場合の手続きは、別の機会に説明します。

在留資格とは

まず簡単に在留資格について説明しておきます。

在留資格とは、外国人が日本に滞在することを許され、特定の活動をできる資格のことです。在留資格は現在33種類あり、種類によって日本で働けるか働けないか、また、従事できる業務内容が決まっています。在留資格には有効期限 (在留期限) があり、在留期限が切れてしまうと在留資格が失効となってしまいます。日本に引き続き残る場合には、更新手続きが必要となります。

そのため、外国人を雇う場合は、「在留資格」と「在留期限」を必ず確認し、それぞれ必要な手続きを取らなくてはなりません。その2つは在留カードで確認することができます。

なお、永住者やその配偶者など「身分や地位に基づく在留資格」を持った外国人は、就労の制限がなく、日本人と同様に働けますので、在留期限のみ確認すればOKです。

新卒の留学生を採用する場合

留学生を新卒で雇用する場合、「留学」の在留資格から「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」など、就労可能な在留資格 (俗に「就労ビザ」と呼ばれています) へ変更する必要があります。その手続きを「在留資格変更許可申請」といいます。

申請手続きは、法務省出入国在留管理庁、地方出入国在留管理局などで、原則として本人が行います。変更したい在留資格ごとに異なる在留資格変更許可申請書があり、法務省のウェブサイトからダウンロード可能です。

必要書類は本人が用意するものと、会社で用意するものがあります。

本人が用意するもの

在留カード/パスポート/学歴を記載した履歴書/学歴を証明する書類 (卒業証明書など) /本人の写真 (手続きの前3ヶ月以内に撮影されたもの)

会社が用意するもの

登記簿謄本および決算報告書 (コピー) /定款 (コピー) /直近の決算書 (コピー) /会社案内のパンフレット/雇用理由書/雇用契約書 (コピー)

審査は2ヶ月くらいかかることもあるので、余裕を持って準備することが大切です。何も問題がなければ、本人宛に申請許可の通知が届きます。

転職者を採用する場合

(1) 転職後の仕事内容が、前職と異なる場合

外国人が別の会社から転職してくる場合、まずは在留資格を確認し、現在の資格と雇用後に必要な資格が異なる場合 (仕事の内容が異なる場合) には、新卒留学生のときと同様、「在留資格変更許可申請」を行う必要があります。本人が用意する書類は若干異なり、下記の通りとなります。

本人が用意するもの

在留資格変更許可申請書/在留カード/パスポート/本人の写真 (手続きの前3ヶ月以内に撮影されたもの) /前職の源泉徴収書/前職の退職証明書/雇用契約書 (コピー) /転職理由書

(2) 転職後の仕事内容が、前職と同様の場合

一方、前の会社と同じ職務内容で働く場合は、資格変更の手続きは必要ありません。とはいえ、間違って資格外の職務についてしまうと不法就労となってしまうため、念のため「就労資格証明書」を取得しておくと安心です。自社で働ける資格があることの証明となる書類です。就労資格証明書交付申請書は、在留資格変更許可申請書と同じく、法務省のウェブサイトからダウンロードできます。会社側で用意する書類は、在留資格変更許可申請のときと同じですが、本人が用意する書類は若干異なり、下記のものが必要です。

本人が用意するもの

就労資格証明書交付申請書/在留カード/パスポート/本人の写真 (手続きの前3ヶ月以内に撮影されたもの) /前職の退職証明書/前職の源泉徴収票/雇用契約書 (コピー) /転職理由書

就労資格証明書の交付には1~3ヶ月ほどかかります。

(3) 在留期間更新許可申請

外国人の在留期間満了日が近づいている場合、在留期間更新許可申請を行う必要があります。転職後の仕事内容が同じでも、転職時期が在留期限までおよそ3ヶ月を切っている場合には、「就労資格証明書」ではなく、在留期間の更新を申請します。

本人が用意するもの

在留期間更新許可申請書/在留カード/パスポート/本人の写真 (手続きの前3ヶ月以内に撮影されたもの) /直近の住民税の納税証明書/直近の源泉徴収書/前の会社が発行した退職証明書/雇用契約書 (コピー)

おわりに

在留資格に関する申請手続きは、原則、外国人本人が手続きを行うとはいえ、不備があれば、会社側も採用活動に要した労力が無駄になったり、不法就労助長罪に問われるおそれがあります。必要な手続きが行われるよう、外国人に指示・確認をするようにしましょう。外国人労働者の採用に詳しい専門家から助言を得ることもおすすめです。

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