改正公益通報者保護法の施行を前に、「内部通報制度」を導入する会社が増えています。
具体的には、従業員が社内で行われている不正や法令違反について相談・通報するための窓口を設置する ことになりますが、たんに窓口を作るだけでなく、「安心して利用できる窓口」にするために整備すべき事柄があります。
そのひとつが「内部規程」の整備です。
以下では、そもそも「内部規程」とはどのようなものなのか確認したうえで、「内部通報制度」に関する内部規程に記載すべき項目について見ていきましょう。
内部規程とは?
「内部規程」とは、会社が独自に定めるルール全般のことを指し、「社内規程」ともいいます。
例えばハラスメント防止規程や文書取扱規程など、社内秩序の維持や業務プロセスの統一化を目的として定められ、違反したときの罰則も法令違反にならない限り、自由に取り決められます。きちんと周知することで、従業員との合意がなくても効力を持つとされています。
内部規程に記載すべき項目とは?
消費者庁が平成28年12月9日に公表した「公益通報者保護法を踏まえた内部通報制度の整備・運用に関する民間事業者向けガイドライン」では、「通報対応の仕組みの整備」の一つとして「内部規程の整備」を挙げており、とくに次の2点について規定しておくべきとしています。
- 通報者に対する解雇その他、不利益な取扱いの禁止
- 通報者の匿名性の確保の徹底について
これらは、従業員が安心して制度を利用 するために必要不可欠な要件といえるでしょう。
さらに、通報後の調査が適正に行われるよう、以下のような項目も含めるべきと考えられます。
・従業員は、通報を端緒とする調査に誠実に協力すること、調査妨害をしないこと
・通報を端緒とする調査に協力したことによる不利益な取扱いの禁止
なお、消費者庁の依頼で弁護士が作成した「内部通報制度に関する企業等向け内部規程例」 (2019年10月) が公表されています。
本規程例は、「内部通報制度を自社に導入するにあたり、どのような規程を制定すれば よいのか分からない」という事業者の声を踏まえて作成されたもので、大企業向け、中小企業向けなど数種の規定例が記載されています。
消費者庁が公式に認定したものではないと付言されていますが、これから内部規程を整備する会社にとって有益な資料と思われますので、ぜひ参考にしてみてください。
おわりに
「内部規程」の整備は、内部通報制度を適切に運用するために必須とされています。公表されているモデル規程や他社事例などを参考に、自社の実態に則した「内部規程」を作成しましょう。
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